最後までレベルを維持するのは難しいですが

シャングリ・ラ 下 (角川文庫)

シャングリ・ラ 下 (角川文庫)

上巻からの期待が高すぎたか、正直いって下巻はイマイチ。
CO2の架空取引を予言していたところとか、炭素材のやりとり
とか凄いんだけどね。
上巻の解説の微妙に褒めてなかった部分てコレかいな?


ひとつは、「炭素の時代は終わる」と繰り返し言いながら、
結局は炭素やカーボンナノチューブに有り難みがあるまま、
新しい価値観が作者によって開示されずに終わったように
思えること。
「黄金なんて、価値があったの、昔は?」
と純金のインゴットが無造作に地面にゴロゴロしていながら、
配管は銅……って、どんな世界じゃ(笑)
いくら大量に存在していても“錆びない”取り柄までもが
変化しているわけじゃないんだから、ただでさえ年中梅雨期
のような世界なんだからパイプはみんな18金で作っとけばぁ?
だから後で腐食しちゃうんじゃん。


もう1つは下巻から登場した東大病院の女医博士の鳴瀬凉子。
美人で、賢く、歌えば天使、バイオリンも完璧に演奏をこなし、
料理は名手、水泳はオリンピック国内代表に選ばれ、バレエを
踊ればすばらしい情感と跳躍力。……だって天才だから♪
って、ありえねーーー
「何でもできて、人を倒して悔しがらせるのが趣味」
短距離もマラソンも得意で、必要な筋肉が違う水泳とバレエを
両立させ、おそらく将棋を覚えれば、羽生善治永世名人すらも
4連敗させ、かつミクロコスモス級の詰将棋もつくれ、簡単に
フェルマーの最終定理レベルの難問も解き、絵を描けば国宝入り
し、演技はアカデミークラス。
……あり得ない。
嘘くさすぎる*1
人ならざる運動神経を持つグリンディエタ・ラーデンだって、
そこまで無制限に万能じゃないよ。
まだ、最強の美貌のオカマ、モモコねーさんや、巨大ブーメラン
で戦うヒロイン國子のほうが存在として説得力あります。
特化したジャンルが少ないからね。
凉子は華奢なくせに異常に不死身で、倒されても倒されても再登場
するのもたいへんウザイ。
うーん
テンペスト
のほうが良いようなので、そちらにはまた期待します。
そちらは【流血女神伝】のような感じらしい。
男装して運命に立ち向かう少女って、いいよねー。
女神伝のカリエは、両親を人質にとられた強制だったけど。で、
出だしこそ王道だったけどその後の加速が素晴らしかった(^^)

テンペスト 上 若夏の巻

テンペスト 上 若夏の巻

テンペスト 下 花風の巻

テンペスト 下 花風の巻


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*1:しかも、「その万倍すごいんですぅ」という小学生レベルの嘘