……パクリですか?

うーん、どうにもこの作家さんとは相性が微妙。
つまらなくはないんだけど、いつもなんとなく2巻目までは買う気になれないのよね……。今回のシリーズが目指すところにたどり着くと、【キノの旅】な気はします。

ダンタリアンの書架1 (角川スニーカー文庫)

ダンタリアンの書架1 (角川スニーカー文庫)

まぁ1つは、「文章で描写されている服装と、イラストがなんか違うんだよなぁ」という三雲さんには罪の無いところ。
ヒロインの服装はほぼ【錠前】しか合ってない*1し。
文中で「ソフト帽」とされているものが、どう見てもテンガロンハット。
とはいえそれは、イラストレーターさんの罪ですらなく、締切と入稿日の問題やもしれませんが(^^;)


そして本文のほうは、1話目が特に駄目でした。
だって、キモのシーンが【羊たちの沈黙】の映画*2そのまんまなんだもん! お姉さん、あんたハニバル・レクター博士かいな。
そっくりすぎますよ、避けましょうよ!

羊たちの沈黙 (新潮文庫)

羊たちの沈黙 (新潮文庫)

レッド・ドラゴン 決定版〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

レッド・ドラゴン 決定版〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

以下いちおう畳んでおきますが……熱く語っているので長文です。




『悪魔と契約せし究極の料理』というんで、「……はーん、まさかアレじゃないだろうなぁ」と思ってたら、やーっぱり食人でやんの。
大金持ちの食通が、上流階級の人間を集めては晩餐会を催して……って、あまりにも昭和ネタすぎる……。
平成生まれは逆に『使い古されたストーリー』とは思わないかもしれないですが、捻りも入れずに書いてて、恥ずかしく無いのでしょうかねぇ。
むかしむかしの高橋葉介栗本薫柴田昌弘なんかで読んだ記憶があります。比較的最近でも、諸星大二郎が【栞と紙魚子】の中で、古典として使っていました。
ちなみに今回の【羊たちの沈黙】(の続編【ハンニバル】のほうでした)そっくりなのは、本人に自分の◎を食べさせるというエグいシーン。そこまで捻れば面白いですけどね。最初にやった↓作品は、えらいです。
http://www.ne.jp/asahi/hoth/press/other_films/pics/hannibal/hannibal.htm
でね。
私は個人的に食人ネタが嫌いなんです。


だって「美味しいわけないじゃん!」
人間だよ? 雑食だよ?
人類誕生以来いろーんなものを食べまくって、残っているのが牛・豚・鶏・次点で鳥類全般に、馬・山羊・羊・鹿・猪など。
ざっと並べればお分かりのように草食のほうが美味。
雑食寄りの豚だって、ドングリのみ食べてるとされるイベリコ豚が最上でしょ?

今回は、◎◎以外の人間が食べられてるのかどうかは、ほのめかすに留まっていますけれどね。
みんなどうせフィクションとして書くなら、そのへんから攫ってきたりしないで、代々野菜と木の実と果実だけで養殖したベジタリアンたちの人間牧場をつくるぐらいしたらどうかなぁ。3代目ぐらいからは美味しくなると思うけど。*3


そして「人を食べれば偉いわけっ!?」
その程度の事で悪人や恐怖を書いた気になってるのが、なぁんか底が浅くて。
人間が人間を食べるのは基本的に2種類。


1・尊敬する人や愛する人、好敵手が亡くなった時
相手のパワーと魂を自分の中へ取り込むために、みんなで分け合って食するそうです。


2・飢えた時
死にそうになれば、最終手段ですね。
↓この本の主人公も人を食べちゃおうか悩むシーンがありましたが。

お嬢様と私 3―たなぼた中国恋愛絵巻 (ジェッツコミックス)

お嬢様と私 3―たなぼた中国恋愛絵巻 (ジェッツコミックス)

そのどれでも無い時には、ただのゲテモノ喰い。
地上に何億人もわさわさいて(=希少性の無い)、足が早いわけでも鋭い爪や牙があるわけでもない(=捕獲に苦労もいらない)、美味しくもないものを食べる。それが食人。
ゴキブリ食べてるのと大差ありません。
なのに、フィクションの中の彼ら彼女らは、大抵「究極のグルメ」面するから、腹が立って!
あーほーかー!


……というわけでこの本は、私にはイマイチでした。残念っ。
タイトルと主人公2人は魅力的なんですけどねぇ。(拳銃の使い方や要所要所の台詞は、いかにもテンプレ通りという印象ですが)2巻が並んでいるのですが、今回はどうしようかなぁ……。

ダンタリアンの書架2 (角川スニーカー文庫)

ダンタリアンの書架2 (角川スニーカー文庫)


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*1:ヒロインは鎧のようなドレス。という描写がまるっと無視で、ただのドレスになってます。黒尽くめとしたいはずが白が効きまくってるし

*2:本の方は、借りたんだけどなんか駄目でそのまま返却

*3:そういえば、近い話が藤子不二雄にありましたね。牛が人間を育てて食べる話。これについても言いたい事があるのでまた後日に