引退いろいろ盤外いろいろ

有吉道夫九段が勝利して、引退を回避されました。
よかったです。やはり層は厚いほうが観ていて楽しいですもの。
『いろいろな戦法・さまざまな年齢層・多彩な性格や言動』あってこその将棋界。羽生先生はすごいけれど、谷川先生もすごいけれど、「羽生善治」だけ100人出てきても、「谷川浩司」だけ100人対局していても、そんな将棋は面白くないですし。


でも、中原誠十六世名人は引退されてしまいました。
「左手と左足が不自由なので対局を続けるのが難しい」
とのことで仕方ないですが、残念です。お疲れさまでした。
ひとつの大きな時代の区切りとなりましたね。
とはいえ、まだまだ将棋界は危うい(涙)ので、今後は冷静な鳥瞰のブレーキ役として御活躍いただきたいのですが……。中原先生も棋界しかご存じないかただから大変かなぁ……。
ゆっくり趣味の山登りでもされたほうが、幸せでしょうかしらねぇ。
お体が大丈夫でしたら、気持ちよい自然の中のほうが健康にもよろしいでしょう。


さて。ひさしぶりにNHKテキストで仕事をしたので、掲載誌が届きました。
河口俊彦七段の連載エッセイ*1将棋世界の時から好きだったのですが、NHK将棋講座今月号は「おおぅぅ?」というぐらいタイムリーな内容でした。締切を逆算すると、おそらく偶然か天恵。

平たく言えば、むかしむかし高段の棋士が気にくわない観戦記を書いた記者を外そうとした話。ほかの人が読んでも理由がさっぱり分からない、むしろその棋士の素晴らしさがよく出ている内容の、良い観戦記だったそうです。同じような話が他にもいくつか出ていてとても面白かったので、ぜひ読んでみてくださいね。
昭和の時代は、観戦記は棋士のものだったんですねぇ。
で、平成の今は?


被差別部落の青春 (講談社文庫)

被差別部落の青春 (講談社文庫)

「差別」ってなんだろうなぁ。
本人は『区別』だったり『防衛』だったりするのが難解なところ。
部落というものを知らずに東京で育ったので、部落差別よりもごく一部の血液B型差別*2とか、大阪差別*3などのほうがまだ身近。
実話を集めたこの本の中に「息子が部落の女と結婚するなんて!」とショックのあまり病気になった女性がいて、彼女の中では自分は『被害者』なのだけど……それって、加害者も自分ではないのかしら(汗)
まぁ分かったのは「単語には意味ない」ですね。
言葉狩りは思考を楽にはしますが、ひとつひとつのケースを見ていかないと。


ジハード〈3〉氷雪燃え立つアスカロン (集英社文庫)

ジハード〈3〉氷雪燃え立つアスカロン (集英社文庫)

3巻までいきました。 ★1巻の感想★
2巻でエルシード殿下が裏切りを信じた時にはガッカリしましたが(心理的だけじゃなくて物理的にあり得ないと思うのよねー。ていうか敵の言葉を信じるのがダメダメ)。
この小説、女性陣は魅力的な人がたくさんいるのですが、男性陣は「ジハードのヤン・ウェンリー」こと*4ヴァレリー(公正/アル=アーディル)以外はちょっといまいち。
なぜかしら。


それにしても銀英ファンには
『常勝のラインハルト 不敗のヤン』
というキャッチコピーがお馴染みですが、このヴァレリーのふたつ名は『常敗のヴァレリー』ですってさ!
電車の中で吹き出してしまったぢゃないですかっ(笑)
常に負け続ける名将……うーむ。


3冊目!
ますます面白く冴え渡っていますね。
ついに後宮の御匣殿となった馨子……のふりをしている宮子。さまざまな姫が次々とあらわれ、慣れない交流をしているところに連続放火事件。
さらになぜか2つの派閥で「美女合わせ」という技量の競い合いになり……。


この美女合わせの競技がうまく効いています。
◎◎の女御だの▲▲の更衣だの、似たような長ったらしい名前の登場人物がたくさん初登場しているのですが、途中で左方−右方として、対抗競技とともに名前がまとめられているのです。「この人って誰だっけ?」と思ってもそのプログラム部分を見れば、敵なのか味方なのか、その特技とともに一目瞭然。読者に対してうまい仕掛けになっています。
いやぁ。今回は王子様である次郎君と螢の宮が素敵でとても良いです。
がんばって宮子を手に入れて欲しい。
彼女の幼なじみで行く末を誓い、入れ替わりが終わるのをじっと待っている恋人の真幸には申し訳ないけれどねー。
ミステリ部分はわりかし古典的なトリックなどが使われていますが、大丈夫、平安(古典)だし。
……すごい勢いで脱線するけれど、原始時代を舞台にしたミステリならばトリックがどんなに古くさくても古典でも、気にならないような感じしませんか?
「雪の洞穴、入った足跡しかなく密室に!」
みたいな。実は後ろ向きに出ていったのでも一万年前なら最先端!
ちなみに今の科学力では、前向きに歩いた足跡か後ろ向きにごまかしているのか、重心のかかりかたですぐに分かるそうですよ。


放火事件つながりで、栗きんとん下巻はまた後日。
「電車の本」にしてしまったのでまだ読み終えていません。
上遠野さんのなんたら事件も、金曜日に購入予定。図書カードの御利用は計画的にね♪*5


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*1:エッセイと言うより観察日記?控え室や盤外の話は面白いですよね

*2:「気が合わないと思ったらやっぱりB型だった」とか言う人がいる。で、Bじゃないと「おかしい」って驚く。だーかーらーなんで四つに分けるんだ人をー

*3:立て続けに大阪の人にヒドイ目に遭ったらしい。確かにあっちの人は押しが強いけれど、東京生まれの東京育ちだろうと、青森生まれの秋田育ちだろうと、押しが強くてイヤな人いくらでもいるじゃんねー。そういや「だべさ」と東北訛りの強いすっごい悪女を見たことあるぞ。方言を武器にしていて男から金をしぼりとっていて驚いた!

*4:もちろん作品内でヤンと名乗っているわけではありません

*5:ここ数日ちょっと本を買いすぎたので、他の新刊は後日に分散中