みるにみかねて暗躍

交渉術

交渉術

もと外務省の人間が書いた本で、ほとんどが思い出話か暴露話。期待していた(笑)内容ではありませんでした。ていうか、専門家なのにみんな相手のことをその程度しか予習しないわけ? 現地にとけ込むのも下手っぴだしそりゃ失敗するわねぇ。バックパッカーのほうが、その国の国民性やプライドなどを理解するのは上手そう。
ただ感心したのは
「◎◎してくれたら××しますよ」
という言い方は、反感を買ううえ足元を見られるとのこと。
「現状では▲▲までしか譲れません」
と、自分の気持ちを誠意をもって伝えるのが第一歩。相手に「××までしてもらうには、どこまでこちらが譲れるか」考えさせる。
また「嘘をつくな!」ではなく「お互いに正直にやりましょう」といった言い回しひとつで、よけいな決裂はふせげるとのこと。うまい交渉というのは、交渉とは気付かせないようにやっているものですって。なるほどねぇ、学ばないとなぁ。


さて
現在某所で暗躍中。(タイトルはこのことよ♪)
とあるテレビ番組に将棋ネタが出てくるかもしれません(^^)
スタッフさんたちはまったく将棋をご存じないので、こちらこそ勉強になっています。面白いです。
放送が決定しましたらお知らせします。


ところで
ここ数日、倍の速度でカウンターが回っています(^^;)
速報記者追放事件*1のせいでしょうね。
さいきんブログやコメント欄などで「なぜ、名人戦中継以降のゴタゴタについて棋士は何も言わないんだ! 絶望した!」という意味の文章をよく見かけるのですが、それはちょっと違うと思うのですよ。
長文なので、以下たたみます。




1★棋士が書くことが将棋界のためになりますか?


「どうして渡辺明竜王はなにも書かないんだ!」と言う人がいますが、書いているではないですか。松本さんやごとげんさんたちとの交流を。あの中から感じ取れるメッセージでは不満ですか?


今回のアホな意味不明の喧嘩は、インターネットをやっていない将棋ファンが知る確率はゼロ%ですよね?
(インターネットをしている人から聞くのは除いて、自力で)
ネット内部だけの、理不尽でお互いに得な事が何一つ無い不思議なゴタゴタです。ファンによる『将棋世界はもう買わない』『こんな日記を書く会長はリコールすべき』などという書き込みもあり、事件が知れ渡るほどにどんどん棋界の価値が下がっていることにどなたも異論はないと思われます。
さて
そこであえて“事件のことをまったく知らない人”にこんな騒ぎを教えるのは、棋界にとってプラスでしょうか? マイナスでしょうか?


私のブログに来る人はほとんどが“インターネットをやっている将棋ファンのかた”です。
“書評を読みたくていらっしゃる人”などもいますが、私はいま将棋ライターとして「将棋の中継とはどんなお仕事なのか」「内部から見るとどうなのか」をお知らせするべく、こうして今回の事件に触れています。


渡辺竜王のブログはどうでしょう?
御本人がよくテレビや一般誌に出られることもあり、あのものすごい訪問者数のブログへ訪れる人が濃い将棋ファンだけではないのは分かりますよね?
“渡辺ブログと連盟サイトあたりだけ回るファン”“将棋はよく知らないけれど、面白いからあのブログは読む人”“有名人のブログだけ巡回している人”“棋界に興味はないけど同世代なので応援している”etc
こちらの想像が追いつかないほど多彩な動機で、愛読されていることでしょう。
そんなライトな
「よく分からないけれど棋士のワタナベって人を通じて、マニアックな世界をかいま見るのは面白い。奥さんの日記もすごく面白いし」
という人たちにあえて『でも裏ではこの世界は、嫌がらせや圧力があって、記者が逆ギレしてね。そしたら嫌がらせしていた人たちが仕事中に追い出しちゃってさぁ。いや、どっちも当人の言い分で本当に何があったかなんて分からないんだけどねー』と教えることに意味はあるのでしょうか?
ただでさえ“棋戦のスポンサーになろうと思ったけれど今はちょっと”と言われていますのに。


2★棋士もインターネットに書かれていること以上は知らないかもしれない


なんせ半分は密室の中ですから。
三者がいないらしい以上は(これは連盟のミスだと思います)当人同士の主観の戦い。
「どっちもどっち」で割り切れるような内容ではありませんが、さりとて現場にいなかった人間には「どちらが悪い」なんて断言できるものではありません。


3★なぜ「サイトに書かれていることが全て」だと?


(1)に書いた理由で、棋士は今回のことをブログに書いて、わざわざ沈みかけた船にハンマーを打ち込む必要はないと思っています。さらっと、分かる人だけに分かる書き方が理想でしょうね。
そして棋士は本当に誰1人として何もしていないのかしら?
もしかしたら当事者に直接「あれはちょっと……」と言っているかもしれないですし、言って欲しいです。
直接の行動が、ブログや掲示板で嘆くよりも有効でしょう。*2
さらに、失うものなき“スポンサー”であるファンの言葉のほうが、しがらみから逃れられない棋士よりも強いはず。行動するべきなのは棋士だけではないと思います。あ、お手紙にはきちんと住所氏名を書きましょうね。怪文書になってしまいますから。


☆今さら無理なのは理解していますが理想的なのは
女流棋士独立問題からいままでのことは、すべてチャラで水に流す」
ことでしょうね。
松本さんは、そもそもの争点となった連盟への苦情(誹謗中傷じゃないでしょ)のコメント欄をみんな削除し、再出発に協力をする。今後はうっかり内部事情を書かない。
将棋連盟は、聞き手と解説はファンと主催者の意向を重視し、先方が希望していない無茶な人事をねじ込まない。『自由競争』というなら冷静に品質で争うこと。
女流棋士会は、自分たち個人個人の自由を尊重し、「LPSAと一緒の仕事はしない」という自分が損するような規約を後輩・先輩に強制しない。(個人が「あの人とは仕事したくない」というならその対象がどちら所属だろうと自由ですが)
LPSAは、元からその規約はないわけですが、温かく受け入れてきちんと今までのことは無かったこととして遺恨を残さない。『自由競争』は品質で争うこと。


……本人たちの気持ちひとつで“無理”ではありませんけどね。
棋界という船が沈みかけているというのに、プライドとか遺恨でどう腹がふくれるというのでしょう。「緊急避難」*3ではないですか。このまま紙媒体に事件が流出したら、船に火が点きますよ。世間のほとんどの人にとって将棋は『無くても困らないもの』であることをお忘れなく。


わたしは将棋が好きです。
あんなによく出来た優秀なゲームは世界でも歴史でもトップクラスだと思っています。
どうか誰にとっても幸せな道がひらけますように……。


Copyright (c) 2009 Sayaka

*1:この騒ぎをなんと表現したらいいか難しい

*2:ブログや掲示板は「誰もが見る場所」ではありません

*3:遭難したら人の死体を食べてもいいというようなこと。今回の場合は、将棋界の評判が落ちているのだから個人の感情は封じて手段を選ばずにイメージアップにつとめるべき。ということ